NEWS

治療剤がない「炎症性腸疾患」の診断・治療が同時に可能…延世大学医大、人工知能基盤のオールインワン物質開発

2022-05-03    hit . 59824


マウスIBDモデルでPe-ハイドロゲルの治療効果(論文キャプチャー)

2022.04.30 09:26

炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease, IBD)は大腸に炎症が発生して、腹痛と下痢、血便などを起す慢性疾患である。
原因がはっきり究明されてないため、根本的な治療方法もないのが事実。

現状の治療は抗炎症剤と消炎剤の投与など、病変の緩和に集中している。
しかし、疾患ん部位に薬物を直接投与することではないため、効果が落ちる問題があった。

このような問題点を解決するために延世(ヨンセ)大学校の医科大学医学工学教室の研究チームは
大腸内視鏡検査を行う過程で炎症性腸疾患を発見すれば炎症治療がすぐできる物質を開発した。

治療剤の開発のために50個未満のアミノ酸で構成されたタンパク質であるペプチドと、高分子物質であるハイドロゲルを使用した。
ペプチドが疾患の部位を標的治療できるように人工知能ディープラーニング技術で炎症緩和メカニズムを学習させた。
ハイドロゲルは常温では固体、体温ではゲルの形態を維持して体温に反応できるように製作された。

特に、治療物質を疾患診断のための内視鏡検査の途中ですぐ使えるように利便性を高めた。

治療剤は注射剤、スプレー剤として活用できるため、外科手術を必要としない長所を持つ。
治療剤の効果は炎症を誘発するインターロイキン6、8の数値と腸の長さで評価した。
炎症性腸疾患が発生したら腸の長さが短くなり炎症誘発物質が多く観察されるためである。

腸に炎症を誘発させたマウスに治療剤を投入したら投入しなかった対照群に比べて腸が長くなり、炎症を誘発する物質が減少した。
正常のマウス、炎症誘発後何も投薬しなかったマウス、治療剤を投薬したマウスの腸の長さは、
それぞれ7.8㎝、5.5㎝、7.4㎝であった。

各実験群でインターロイキン6は正常群に比べて治療剤を投入しなかったグループで約7倍、治療剤を投薬したマウスで約2.5倍高かった。
インターロイキン8は正常群に比べて治療剤を投入しなかったグループで約6倍、治療剤を投薬したグループで約8倍増加した。

マウス以外に、人の腸の環境を具現したチップでも治療効果が観察された。
腸の環境を再現するために炎症性腸疾患の患者から抽出した細胞を活用した。
細胞チップに治療剤を投薬した結果、インターロイキン6とインターロイキン8はそれぞれ13%、36%減少した。
絨毛の長さは167%増加した。

大腸内視鏡で炎症を発見したらすぐ使えることは豚対象の実験で確認した。
実際、大腸内視鏡を豚対象で実施し、普通の大腸内視鏡は水を噴射しながら進めるが、これは水にハイドロゲルを混ぜて使用した。
一日後、豚の腸でハイドロゲルを発見して、実際の検査での治療剤を途中使用可能であることを確認した。

研究チームのソン・ハクジュン教授は、
「治療剤がない中で炎症性腸疾患は慢性的な症状発現で、患者のQOLを大きく落とす代表的な疾患である」とし、
「診断と治療を同時にするオールインワン物質の開発を通じて、炎症性腸疾患を克服できる糸口をつかんだ」と述べた。

一方、今回の研究結果は生体材料分野の著名な学術誌である「Bioactive materials」に、
「腸内病変の特異的治療法の開発のための噴霧型ナノミシェルハイドロゲル及び炎症性腸疾患の患者用細胞チップ
(Sprayable nanomicelle hydrogels and inflammatory bowel disease patient cell chips for
development of intestinal lesion-specific therapy)との
タイトルで最近掲載された。



※本件についてお問い合わせ事項がございましら、当ホームページの「お申込み/お問い合わせ」又は下記の連絡先へご連絡お願い致します。
部署名:SEOIL E&M 企画マーケティンググループ
TEL :+82)2-6204-2033
E-mail : pl@seoilenm.com
ソース:韓国『人工知能新聞』 http://www.aitimes.kr/news/articleView.html?idxno=24918