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[AIレビュー]人間の頭脳のように連合学習する革新的なコンピューティングデバイス… 「シナプストランジスタ」開発

2021-05-10    hit . 60352


シナプストランジスタはプラスチックのような柔らかいポリマーで作られるため、柔軟なシートで容易く製作でき、生体組織や脳と直接繋がる柔らかいウェアラブルデバイス、スマートロボット及び移植可能な装置に簡単に統合できること。


ノースウェスタン大学(Northwestern University)と香港大学(University of Hong Kong)の共同研究チームが人間の脳シナプスス機能を模倣し、究極的には我々の脳と同じ方式で連合学習(Associative Learning)ができる革新的な「シナプストランジスタ(Synaptic Transistors)」を開発した。

連合学習は、人工神経網の範疇での学習方法として、一つの与えられた入力パターンに対して、様々な出力パターンを対応させることにより、一つの情報が様々で記憶されるようにする。

おそらく連合学習の最も有名な例は、「犬に肉を与えるたびに鐘を鳴らすことを繰り返したら、犬が鐘の音を聞いただけでよだれを垂らした」というように、犬の食欲が鐘の音に対する大脳の認識に触発されるという事実を明らかにし、条件反射に対する概念と人間の行動を神経系と関連させた先駆的研究を行ったロシア生理学者Ivan P. Pavlovと同様に研究チームは光と圧力を関連させるために回路を成功的に具現した。

このデバイスの秘密は人間の脳のように情報を同時に処理し保存する新しい有機電気化学的に実装された「シナプストランジスタ」の中にある。 研究員たちはトランジスタが人間の脳でシナプスの短期及び長期可塑性(Plasticity)を模倣し、時間の経過によって学習する記憶を構築できることを立証したのである。

又、脳と同じ能力を持ったこの新たなトランジスタと回路は、エネルギー消耗的なハードウェアと同時に様々な作業を行うことができる限られた能力を含め、既存コンピューティングの限界を潜在的に克服でき、脳と同じ装置はまた耐欠性が高く、一部の構成要素が故障になっても円滑に作動し続ける。

この研究の先任著者である、ノースウェスタン大学のJonathan Rivnay生物工学科助教授は、“現代のコンピュータは卓越しているが、人間の頭脳はパターン認識、運動制御及び多重感覚統合のような複雑で構造化されていない作業では容易に乗り越えることが出来ます。
これは脳の計算能力の基本的な構成要素であるシナプスの可塑性のおかげです″とし、“このようなシナプスは脳が並列的で、耐欠性やエネルギー効率的な方式で作動するようにします」と述べた。

続いて“現在のコンピューターシステムが作動する方式は、記憶と論理が物理的に分離されているということです。
計算を遂行してその情報をメモリユニットに送信すると、その情報を検索したいたびに記憶しなければなりません。
この2つの機能を同時に組み合わせることができれば、空間を節約し、エネルギーコストを削減することができるはずです″と研究背景を説明した。

即ち、人間の脳でコンピュータと保存過程を結合したことに霊感を得て、ここ数年の間、研究チームはニューロンネットワーク(Network of Neurons)のように機能する装置を配列し、人間の脳のように作動するコンピュータを開発しようと努力してきた中で
今回の「シナプストランジスタ」を開発したのである。

現在、メモリ(memory)とレジスタ(resistor)の合成語として、電流の方向や大きさなど従来の状態を全て記憶する素子であるメモリスタ(Memristor)は、プロセッシングとメモリ機能を結合できる最もよく開発された技術であるが、エネルギーコストの多くかかる転換と低い生体適合性で困難である。
このような代案として、研究チームはシナプストランジスタ、特に低い電圧、持続的な調整可能メモリ及び生物学的用途に対する高い互換性を持って作動する有機電気化学シナプストランジスタの開発につながった。

しかし、課題も伴った。 研究チームのシナプストランジスターも書き取り作業が読み取り作業から切り分離されなければならない。
従って、メモリーを維持するためには書き取りプロセスから分離しなければならないため、回路又はシステムへの統合がさらに複雑になる可能性があるということである。

こうした課題を克服するために,研究チームはイオンを閉じ込める有機電気化学トランジスタ内で伝導性プラスチック材料を最適化した。脳でシナプスはニューロンが神経伝達物質と呼ばれる小さな分子を使って他のニューロンに信号を伝送できる構造である。
シナプストランジスタでイオンは神経伝達物質と類似に行動して,端子間に信号を送り人工シナプスを形成する。
閉じ込められたイオンから貯蔵されたデータを維持することで、トランジスタは以前の活動を記憶し、長期的可塑性を開発する。

又、研究チームは連合学習をシミュレーションするために単一シナプストランジスタをニューロモピック回路に連結して装置のシナプス動作を試演した。
又、彼らは圧力及び光センサーを回路に統合し、関連しない二つの物理的な入力(圧力および光)をお互いに関連させるよう回路を訓練した。

ニューロモピック(Neuromorphic)回路の場合、研究チームは指で圧力をかけて電圧を活性化した。
光と圧力を関連させる目的で回路を調節するために、まずLED電球からパルス光を適用した後、すぐ圧力をかけた。
この方法は上述のように「犬に肉を与えるたびに鐘を鳴らすことを繰り返したところ、犬が鐘の音を聞いただけでよだれを垂らした」で
圧力は「肉」で、光は「鐘」で装置の当該センサーは2つの入力をすべて感知するのに成功したのである。

1回の学習周期の後に回路は光と圧力を初期に連結し、5回の学習周期の後には回路は光と圧力を大きく関連させた。
結果的に光は単独で信号または「無条件的な反応(Unconditioned Response)」を誘発することができた。

結論的に研究チームのこの革新的なシナプストランジスタはプラスチックのような柔らかいポリマーで作られるため、柔軟なシートで容易く製作でき、生体組織や脳と直接繋がる柔らかいウェアラブルデバイス、スマートロボット及び移植可能な装置に簡単に統合できると期待される。

研究チームは現在、アプリケーションは概念証明(Proof of Concept)であるが、開発したシナプストランジタはより多くの感覚入力を含むようにさらに拡張でき、他の電子デバイスと統合されて現場で省電力計算を可能にすることができ、
特に生物学的環境と互換性があるため、次世代生体電子工学に最も中核的な生体組織と直接インタフェース出来ると説明した。

一方、研究チームの生物学的シナプスの主要機能を模倣した有機プラスチックトランジスタの研究はノースウェスタン大学のJonathan Rivnay助教授と香港大学機械工学科のPaddy Chanと共同で行い、この研究結果は先月30日にNature Communicationsに「イオン捕獲非揮発性シナプス有機電子化学トランジスタ」というタイトルで掲載された。

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